高木凛々子ヴァイオリンリサイタルを聴く 
 

     


2016年5月10日(火)
福山リーデンローズ小ホールで高木凛々子のリサイタルがあった。

彼女は現在東京芸大の2年生で19歳。
経歴として多くの受賞暦があるが
・2005年 第8回全日本ジュニアクラシックコンクール 小学生部門第1位
・2010年 第4回横浜国際音楽コンクール 中学生部門第1位
・2012年 ベートーヴェン国際コンクール 第1位 (オーストリア)
・2014年 ユーロアジア国際音楽コンクールin Italy 第1位
・2015年 ユーロアジア国際音楽コンクールin Tokyo 第1位
など、立派な活躍ぶり
しかし、それよりもテレビ番組「関ジャニ∞のTheモーツアルト」第2弾でヴァイオリン王に輝いた美人ヴァイオリニストといったほうがわかりやすいかもしれない。
自分もそのテレビは見ていたのだが、その時しか彼女の演奏を聴いたことが無いので、音楽も容姿も今回どちらも楽しみにしてきた
パンフレットの写真を見ればわかるように正真正銘の美人バイオリニスト。
モデルとしての活動もしていて、本物の才色兼備な女性である。

そんな彼女が福山市制100周年の今年に福山にやってきたのは、彼女の父親が福山市出身で現在読売交響楽団のヴァイオリニストということときっと関係が有るのだろう。



プラグラムは
第1部 
 ・ベートーヴェン スプリングソナタ 全4楽章
 ・バッハ シャコンヌ
第2部
 ・パガニーニ うつろな心変奏曲
 ・クライスラー ウイーン奇想曲/美しきロスマリン/愛の悲しみ/愛の喜び
 ・ワックスマン カルメン幻想曲
となっている

前半が王道の曲、後半が技巧を見せる曲といったところか・・・

パンフレットの曲の解説は彼女自身が書いているというようになっている
まだ新人なので本人がしなきゃいけないのかわからないが、いずれにせよ好感が持てた。

今回座った席は2列目のやや右側。彼女を見るのに最高のポジションをゲット




会場が暗くなり彼女が入ってきた。
ピンクのドレスで上半身はラメ入り、なかなか似合っている。
パンフレットの写真よりもちょっと華奢というか痩せたのかと感じた。
もうすこしふっくらしたほうがもっと可愛いのにねとは連れの感想。たしかに・・・
腕も細いので、ちゃんと音が出るのかやや不安
なんせ関ジャニ∞のTheモーツアルトでは音量は伝わってこなかった


曲が始まる
スプリングソナタは無難な立ち上がり、おとなし目だと思って最初は聴いていたが、曲が進むうちに結構音量もあってつやがあってきれいな音を出す女性だとだんだん感じてきた。
あの細い腕でホールを本当に上手に響かせている。
シャコンヌは圧巻だった。
ホールにバッハの音が響き、教会の中とまでもいかないもののそれに近い鳴りっぷりで、迫力と音楽の神聖さを感じた。
途中自分はこのまま時間が止まれば良いと本当に思った。こんな気持ちはいつ以来だろう・・・
彼女の音はまさにコンサートヴァイオリニストの音だった。室内楽やオーケストラではなくソロヴァイオリニストとして羽ばたくべき逸材だと思う。


第2部が始まる
残念ながら第1部と同じ衣装、違うパターンも見てみたかったかも

パガニーニは超絶技巧の曲。左手ピチカートもしっかりした音でこなし、倍音も上手に響かせ速弾きも得意だ。かなりの技巧派とみた。
ワックスマンも同じく超絶技巧の曲。凄いなと思わせるには充分だけど、やや粗さも有り、諏訪内晶子みたいに何事もないようにあっさりと弾いてしまうというのとは少し異なる。
どうだと言っている様に感じる部分も有った。
ただ時々見せるお茶目そうな顔もまた愛らしい。それに大きな少し垂れた目が優しそうだし、唇は柔らかそう。さらに鎖骨は綺麗で噛み付きたくなるほどだし、その下に有る黒子がまた色っぽい・・・・・おっと話があらぬ方向に・・・・

話を戻して、結局演奏会全体としてはやや技巧のアピールが目立つ演奏会という印象を受けてしまった。(シャコンヌは痺れたんだけどね)
むしろクライスラーの名曲をもっとしっかり感情をこめて聞かせて欲しいと感じたのはおそらく自分だけではないだろう。


アンコールになってその二曲目でお父さんが登場してきてデュエット曲を演奏した。
曲目は忘れてしまったが、読売交響楽団のお父さんの音と彼女の音はまるで違う。
失礼だけど、それはオケのヴァイオリニストとコンサートヴァイオリニストの違いだと思った。
でもお父さんは嬉しいだろうなと思う。出来るならば同じ読売交響楽団のヴァイオリニストのお母さんと三人での演奏が聴きたかったのだけれど、このデュエットも微笑ましくて、正直お父さんが羨ましいという気分になった。



このコンサート、久々に感動する演奏を聴いたし、たった1,500円というのは本当に安かった。
そして自分は彼女のファンとして名乗りを上げたい。
もしCDが出たら必ず買う。
出来たらまた福山で演奏会をお願いしたいものだ。



遅くなったけれど、ピアノ伴奏の三又瑛子さんは感情のこもった素晴らしいピアノだった。パンフの写真よりもややふっくら見えてずっと若々しい女性だった。
今後もこのペアでの演奏会を是非続けて欲しいと思う。

高木凛々子さんに願うことは、技術も必要だけどあまり技巧にばかり走らず良い音楽をたくさん聴いてたくさん練習してもっと大きな国際コンクールで是非一度優勝して欲しいということ。
資質は充分すぎるほどあると思う。
ソロヴァイオリニストとして現在のクラシック界で生き残るのはそんなに簡単じゃない



コンサートの後に彼女がホールに出てきて、その後撮影会状態になった。
知り合いの人たちがきっとたくさんいるのだろう。
自分もそこにまぎれて少し写真を撮らせていただいた。

  





2012年、オーストリアでベートーヴェン国際コンクールで第1位となった後、ザルツブルグにてモーツアルテウムサマーアカデミーに奨学生として参加したとパンフレットに書いてあった。
ちょうど自分は偶然1週間前まで仕事でザルツブルグに行っていて日本に帰ったばかり。なにやら因縁を感じたりして・・・



高嶋ちさこさん。ルーシーを是非彼女にゆずってください!! (笑)




高木凛々子 パガニーニヴァイオリン協奏曲を聴く