さるなしジャム考
    (2004.2.7)
 

岡山県観光連盟主催の宝探しイベントを通じてさるなしジャムに出会ってからかれこれ2年になる。
以前はパンはマーガリンと決めていたのだが、このさるなしジャムを一度使ってからはイチゴジャムなどに比べあまり甘くなく少し酸っぱいそしてビタミンが多いというところが気に入り、それから今までの間僕はさるなしジャムを切らしたことがない。

ところがこのジャムどこでも手に入らないものなのだ。
僕の知る限りでは岡山県北部の道の駅でしか見たことがない。
数が少ないということは、さるなしの実自体がどこにでもないものなのか、もしくは人気があまりないものかのどちらかだ。すくなくとも珍しいものということには違いない。

なんといってもさるなしジャムはイチゴジャムなどに比べると色が緑のくすんだような色なのでまず最初に食べようという気になりにくい。悪く言えば鳥の糞の様な色だとも言えるだろうか。知らない人にとってはあまり食べてみようという気にならないだろう。
実際僕もそうだったし、そのイベントでこのジャムの説明があったからこそ一度食べてみようという気になった。
もし仮にこのジャムが「キウイジャム」とでも表示されていれば知らない人でもあまりためらわずに買っていくだろうし、人気ももう少しはあって、さるなしを栽培する人も増えていくのではないだろうか。

というわけで、このジャムが近所で手に入らないために、僕は蒜山方面に行く機会があったときに道の駅などで買い込んで帰っていた。
ところが真冬のこの時期になって今回さるなしジャムを切らしてしまい、雪の中わざわざ蒜山まで出かける気にもならず他の購入方法はないものかと考えてみたので、この期にさるなしジャムのことを紹介してみることにした。

yaginumaさんのHPより写真をお借りしました             松本市、中島酒店さんのHPの写真をお借りしました

さるなしについて

さるなしはマタタビ科の植物で、山野に自生するツル性低木。5月下旬頃に五弁の白くて可愛らしい花をつける。9月〜10月になると果実はモスグリーンでサクランボほどの大きさの実をつけ、熟した果実は柔らかく、キウイフルーツのような甘酸っぱさと香りが漂い、生食できるようになる。
「さるなし」の語源はサルが好んでこの実を食べ「猿が食べる梨」ということからきており、地方によっては別名として
  シラクチヅル(白口蔓)
  コガ・・・・・・岩手県
  こくわ・・・・・山形県・北海道
  ひらくち・・・・岡山県・福島県・長野県
とも呼ばれているようだ
また
「日本のキウイフルーツ」・・・味がキウイに似ていることから
「日本のマンゴー」・・・・・・芳醇な味から
「幻の珍果」・・・・・・・・・クマの好物で採取が困難、市場に出ないことから
「日本の野生果実の王様」・・・味と栄養分から
とも評されている。


味はキウイのものにとても近いわけだがそれは当然で、ニュージーランドの学者が中国の「さるなし」を持ち帰って品種改良して出来たのが実は現在の「キウイ」なのである。「キウイ」の祖先こそ「さるなし」である。

さるなしの効用

さるなしは
  アラビノガラクタン
  果糖
  ビタミンB6
  ビタミンC(特にビタミンCはレモンの10倍
  ビタミンE
  ペントーズ
  ペクチン
  ミネラル(鉄・マグネシウム・カリウム)
  食物繊維
などを多く含んでいるのでまさに”栄養の宝庫”と言える。

これによってもたらされる効能は
  新陳代謝
  滋養強壮
  健胃整腸
  疲労と病後の回復
  不眠症
  補血
  鎮静
  便秘予防
  高血圧予防
  美容

と多種多様で、古来より不老長寿の果実として珍重されていた事も頷ける。
また、ビタミンCやビタミンEは毛細血管を広げて血行をよくしてくれるため、更年期の症状を軽くしてもくれるそうだ。

これを使った加工食品としてはさるなしジャムの他にジュース・ワイン・リキュール・酒・ハーブティーなどの飲食物の他、シフォンケーキ・クッキー・アイスクリーム・ゼリー・ようかんなどにも加工され販売されており、特に木曽の楢川村では村おこし商品として特産品化が計画されている。


岩手県軽米町                   長野県楢川村
 

さるなしジャムの購入方法

調べたところでは「さるなしジャム」は岡山県の他に長野県・福島県・岩手県のものがネット販売されているようだ。
蒜山高原を含めていずれも涼しいところで出来る果実ということである。
このさるなしジャム、メーカー(産地)によって色が異なるところも面白い。
そういった意味では「ひるぜんワイン」製のものはジュースと色が近いので着色をほとんどしていないそのままのものなのかもしれない。
今回は送料のことも考えていつもの「ひるぜんワイン」製のものを注文することにした。

メーカーの「ひるぜんワイン」にメールで問い合わせてみたところ、「さるなしジャム」については岡山県北部と県南部では「サンさん岡山」(岡山県商工会のアンテナショップ)の1店舗でしか販売していないとのことであり他の場所で購入することは不可能。
「サンさん岡山」はインターネット販売も行っている。
僕は今回「ひるぜんワイン」から直接購入したが、このメーカー消費者からのFAXまたはメールで直接注文を受けてもらえる(着払い)のでとても助かる。
金額については直接ここにお願いした方が「サンさん岡山」からNETで購入するよりいくらか割安のようだ。
尚、送料は1個から20個までは同じになるとのことだったので、遠くの方はたくさん買わないと割高かもしれない。

この「ひるぜんワイン」のさるなしジャムだがひとつだけ気になることがある。
粘度が一定でないことだ。
バターナイフで塗れないほど粘度が低くサラサラのときと、逆に通常のジャムと同じ程度の粘度の場合がある。
僕はヨーグルトのトッピングによく利用するので、サラサラの方が使い良いのだが(トーストにはスプーンを利用する)、通常のジャムの粘度の場合には逆にヨーグルトにトッピングした際に混ざりにくい。
もしかするとさるなしはジャムに加工しにくい性質なのかもしれないが、このあたりは改良が望まれるところだと感じた。


ひるぜんワイン製         軽米町産業開発製      軽井沢、沢屋製
みなさん一度さるなしジャムにチャレンジしてみてはいかがかな?


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  「ひるぜんワイン」さんから、このページを見て粘度の件についての回答を2通もメールでいただいた。
  とても丁寧で前向きな回答。掲載の了解を得たのでここにご紹介したい。           
サルナシジャムについての紹介、拝見させて頂きました。

ご指摘の通り、サルナシジャムの粘度に関しては大きな課題としている点であります。
原料のサルナシの大きさが不揃いなため、果実そのものに含まれるペクチンの量が異
なり、同量のサルナシを用いたとしても、全体のペクチン量の差からジャムの粘度に差が
生じているのでは、と考えております。

また、粘度を見ながら徐々にペクチン添加量を調整していく方法も取れますが、
ペクチンを添加する際にはすでにジャムは加熱して温められているため、
粘度を細かく吟味しながらペクチンを添加していると、
過熱による色の褐変は避けられません。
サルナシジャムの独特の色合いも失われてしまいます。

現在、サルナシジャムの改良すべき点として検討しております。
常に一定の性質で出荷できるよう努力していきます。

今回の貴重なご指摘ありがとうございました。
これからもご愛顧頂きますよう、よろしくお願いします。


ひるぜんワイン有限会社
○○ ○○
岡山県真庭郡川上村西茅部709-1
Tel:0867-66-4424
Fax:0867-66-7017
hiruzenw2@msn.com
当社のサルナシジャムは隣村の新庄村で栽培されたサルナシを使用しています。
新庄村では昔から山に自生していたサルナシを近年特産品として取り上げ、
村を挙げてサルナシの栽培を奨励し、徐々に栽培面積も増えつつあります。
蒜山高原(川上村)でもサルナシが自生しているので、
秋には野生のサルナシの実を収穫することもできます。

前回のメールでペクチンの説明を少し致しましたが、
書き忘れていたことがあったので補足しておきます。

現在、サルナシは極微量ではありますが、徐々に栽培化が進んでいるようです。
サルナシはご存知のように野生の果物であり、一般の果物のように栽培方法がきちん
と確立されていません。
そのせいか栽培家によって果実の大きさや収穫時期や追熟の仕方も異なるため、
サルナシの品質は一定である、とは必ずしも言えません。
ペクチンの含有量も異なるでしょうし、これがジャムの質を左右する1つの原因かも
しれません。
もちろん当社の製造技術がまだまだ未熟なことも理由になりますが。
また、サルナシについての質問は直接の新庄村役場に聞かれたほうが詳しく返答して
いただけるかもしません。


ひるぜんワイン有限会社
○○ ○○
岡山県真庭郡川上村西茅部709-1
Tel:0867-66-4424
Fax:0867-66-7017

http://ww1.tiki.ne.jp/~hiruzen-wine/

また、ジャムの色の違いについて問い合わせたところ、
沢屋さんと軽米町からメールが届いたのでそれもあわせてご紹介したい

×××様

お世話になります。沢屋 ○○と申します。
お返事遅くなり申し訳ございませんでした。

ジャムの色の件でございますが、
弊社のジャムはすべてジャムになるフルーツとグラニュー糖のみで製造しておりまして
ペクチンなどの添加物は一切使用せず製造しております。

さるなしジャムももちろん、原料はさるなしとグラニュー糖のみで製造しており
さらさらとした流動体のジャムになります。
市販のジャムで想像されるようにゼリー状には固まっておりません。
そのような事から、ペクチンを加えた粘度の高いジャムのほうが色が濃いのではと思います。

下記アドレスの写真は昨年弊社でさるなしの実を販売させていただいた時の
写真になります。
http://www.rakuten.co.jp/sawaya-jam/img1055593228.jpeg

写真のさるなしは完熟前のもので、さらに追熟させ濃い緑色になると完熟状態です。

あと思い当たるのが、さるなしの種類による違いではと思います。
御紹介いただいたHPの 松本市、中島酒店さんのHPの写真 のさるなしは
弊社のジャムのさるなしとは違う種類かと思います。
ベビーキウイの名で販売されているものではと思います。

たいしてお役に立てる情報もなくお恥ずかしいですが、どうぞ宜しくお願いいたします。


    株式会社 沢屋
    沢屋バイパス店・ジャムファクトリー
    長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字塩沢702
    (TEL) 0267-46-2400(代) (FAX) 0267-46-2404
   
  楽天市場   http://www.rakuten.co.jp/sawaya-jam/
     E-mail    info@sawaya-jam.com(担当 ○○)
   
お問い合わせ頂き有り難うございます。

>ご質問についてですが、商品に使用する果実や加工技術の違いによるものと考えら
れますが、弊社の商品については、、果実を加熱処理する段階で黒ずんでしまいます
が、これは自然の色です。着色料を使用しておりません。また、時間の経過や日光な
どにより、多少の変色もありますが、賞味期間内であれば問題ありません。

当社ホームページを開設致しましたので、こちらもご覧いただければとおもいます。
http://www6.ocn.ne.jp/~sarunasi/


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(株)軽米町産業開発
 担当 ○○
0195-46-4222
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