出雲そば考2

昨年末、奥出雲横田町のそば屋4軒の蕎麦を紹介したが、今回松江・出雲の蕎麦を食べに行くことにした。
訪問したのは、松江市の「神代そば」「八雲庵」、出雲市の「荒木屋」だ。
今は蕎麦の特に美味しい季節。
横田の蕎麦と比べてどんな味なのか
とくになんといっても松江市で人気の「神代そば」だけは一度食べてみたかった。



松江市米子町。
「神代そば」は松江城の大手前から真直ぐ東に400m程のところの道路沿いにある。
駐車場は店の裏手に数台分ある。

当日はあいにくの小雨。休日のお昼前だが雨なのに店の外まで人が並んでいた。
期待が膨らむ。

営業時間 10:00〜19:00
定休日   水曜日
割子そばは「ブレンド(630円)」と「国産(900円)」の2種類。
もちろん国産を注文。
蕎麦粉はブレンドというのが北海道産と中国産のブレンドで、国産というのが秋田産のものだった。残念ながら地元島根産の蕎麦粉ではない。去年が特に島根のそばは不作だったとのことで、どこの店も蕎麦粉の調達には苦労されているようだ。十割そばで食べてみるとさすがに腰が強く、ともすれば硬いと感じるきわどい線だが、蕎麦らしくてとても美味しかった。意外だが、のど越しもさほど悪くない。しかし蕎麦の香りは「山県そば」には及ばないと思う。
つゆが辛いのも特徴でとてもマッチしているが、かけ過ぎないように注意が必要だ。
モミジオロシではなく大根おろしを使用。
 


武家屋敷・小泉八雲記念館などが立ち並ぶ「塩見繩手」にある有名な蕎麦屋。
古い風情の有る建物で、蕎麦屋で無く観光スポットに見えるほどだ。池には錦鯉が泳ぎ専用の座敷もある。
松江の観光をしながら蕎麦を食べるには絶好のロケーションで、また実際に多くの観光客らしき人が入っていて店内は非常に混雑していた。
駐車場は無い。

営業時間
9:00〜16:30
ここでも「割子そば(750円)」を注文。
神代そばと比べると、腰が弱くのど越しは良い。蕎麦の香りはあまり無く、おそらく二八蕎麦のブレンド品だろう。
水切りが悪いのが気になる。
蕎麦湯はなかなか旨かった。
正直、観光用のそば屋というイメージを持った。
 


出雲市大社町。
江戸末期天明年間の創業で220年を誇る老舗。
現在八代目だそうである。
場所は出雲大社の正面の鳥居から西に300m位の位置だが、出雲大社の駐車場から看板に沿って行くのがわかりやすい。
店の正面に駐車場があるので便利だ。

営業時間 11:00〜17:00
定休日   水曜日
「割子そば(780円)」を注文。
国産の玄そばを石臼挽きして使用とのこと。
蕎麦のコシは神代そばと八雲庵の中間あたりで、のど越し良く二八蕎麦だと思われる。
風味もよい。
つゆはウルメイワシとアゴ節からとったダシに本醸造の醤油をあわせてあるのだそうで、なかなか美味しい。
バランスの取れたオーソドックスなイメージの蕎麦だ。
創業220年の味わいか。

3軒のそば屋を巡って満足満足(^^♪


これまで行った8軒のそば屋を比べてみると
さて、ここまで
 横田町
   ・あさひ亭
   ・八川そば
   ・一風庵
   ・山県そば
   ・玄庵
 松江市
   ・神代そば
   ・八雲庵
 出雲市
   ・荒木屋
と8軒そば屋を回ってきたのだが、ここでわかりやすく比較してみたい
記載したのはあくまで僕の個人的評価だから人によっては違うだろう。

ランキング 名称 コシの強さ のど越し 風味 つゆ 注意点
1 横田町 山県そば 二八 腰にバラツキが有る時もある
2 松江市 神代そば(国産) 十割 つゆの辛さに注意
3 横田町 あさひ亭 二八 鰹だしの好きな人に
4 出雲市 荒木屋 二八  
5 横田町 一風庵(野の香) 十割 独特の食感を
6 横田町 一風庵 十割 たまたま出来が悪かった?
7 横田町 八川そば 二八  
8 横田町 玄庵 二八 麺に弾力、山芋入りかも 
9 松江市 八雲庵 二八  

というふうに、僕は横田町の「山県そば」を一押しとしたい。
この店だけは僕はもう何度も行った。
ここの良さは地元で取れた蕎麦粉を使用しているということだと思う。非常に風味が良い。
それと価格も非常にリーズナブル。「割子定食」は特にお薦めだ。
みんなも一度この「山県そば」を一度食べてみてはどうかと思う。
 


それにしても蕎麦というのはラーメンなんかと比較すると変化が少なく、味もどこで食べてもたいして違うというわけではないのに、こうして食べ比べてみると店の間での差は意外に感じるもんだ。
もっと蕎麦の食べ歩きをしたくなった。

  出雲そば考へ

2005.05.04
今日、山県そばに行ってきた。
なんと横田産のそば粉ではなく福島県会津若松産のそば粉を使用して二八で打っているとのお詫びの文章が書いてあった。
残念ながら昨年の台風や長雨の影響で地元の蕎麦が不作で調達できないらしい。
横田産のそば粉が使用できるのは次の新そばの季節(初冬)ということになる。

現在の割子そばのイメージとしては、二八ながら十割りの雰囲気に近くて腰があって少し硬めだが香りが強くその代わりややのど越しが悪いといったイメージだ。
もしかすると小麦粉の量が少ないのかもしれない。

今回、割子そば定食を頼んだが、これを食べるときは先に蕎麦を完食してしまう方が良いので、それを書き添えておく。
豆腐の山椒味噌などを口に入れると蕎麦の香りがわからなくなってしまうからだ。

それにしても次の新そばの季節が待ち遠しい。

2009.01.04
新年になって山県そばに行ってきた。
今回は「はちそば」をいただいた。

「はちそば」はこの奥出雲地方古来の食べ方なんだそうである。
つけ汁には少々の鶏が入っており、薬味はキンピラゴボウ。
鰹などが手に入らなかった時代にはキンピラで辛さ調節して食べたとのこと。
ただし、この「はちそば」のつけ汁自体は通常のものと同じもの(鰹ダシ入り)を使用して鶏を追加しているそうである。

 薬味のキンピラのほかには、蕎麦粥・蕎麦豆腐・揚げそばがきがついているが、どれもなかなか美味しくて飽きさせない。
とくに揚げそばがきは山葵醤油で刺身と同じように頂くのであるが、なんともいえない食感で是非一度味わってみていただきたいと思う。


店主の方といろいろお話をさせていただいたが、今年の分の横田産の蕎麦は確保できているとのこと。
以前福島産の蕎麦粉を使用されていたことがあったが、やはり横田小そばというのは独特の粘りと風味がある。
話を進めていると店主の方から「もしも今年地元の蕎麦粉が確保できなかったら店を閉めようかとも思っていた」と言われた。そんなことは言わずに長く続けてもらいたいものだが、田舎での蕎麦屋の経営は楽ではないのかも知れず、それ以上何もいえなかった。
是非美味しい蕎麦を出してくれるこの店が長く続くよう、多くの人に訪れてもらいたいものだと思う。
場所はこちら 島根県仁多郡奥出雲町横田大字山県

2010.12.12
山県そばが恋しくなって、久しぶりに行ってみた。

 

今回は一日10食限定のおろちそばを頂いた。
 
古代米のそば粥付きということで、昔の食べ方を再現しているんだそうだが、個人的にはやっぱりここの蕎麦はザルか割子で頂くのが蕎麦の美味しさを一番感じられて良いと感じた。


 
こちらは釜揚げ・割子2枚のセット(1250円)
釜揚げ蕎麦は一番蕎麦の風味を楽しめる食べ方かもしれない。寒い時期はこれもいいね。