上原彩子 <渾身のラフマニノフ>を聴く
2013年3月1日(金)。リーデンローズ小ホールで上原彩子のピアノリサイタルがあった。
プロゴルファーに同姓同名の女性がいるけど、こちらはピアニストのほう
さて、上原彩子の経歴を紹介すると、
1992年 第3回エトリンゲン国際青少年ピアノコンクルール A部門第1位
1995年 第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門第2位
1998年 第11回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門 セミファイなりスト
2000年 シドニー国際ピアノコンクール 第2位。
ピープルズチョイス賞・ショパン賞・シューベルト賞・エチュード賞
2000年 浜松国際ピアノコンクール 第2位。日本人作品最優秀演奏賞
2002年 第12回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門 第1位 (女性初・日本人初)
2008年 第18回新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞
共演 指揮 ロストロポーヴィッチ、ヤノフスキ、ヤルヴィ、小林研一郎 他
演奏 ベルリン放送交響楽団、モスクワ放送交響楽団、ロンドン交響楽団、プラハ交響楽団 他
というわけで、素晴らしい経歴の持ち主
特に2002年のチャイコフスキーコンクールでの優勝は驚いたし、日本人として誇りに思ったものだ。
ただそれ以来さほどのCDも出していないし、自分はあまり目立った印象は持っていなかった。
しかしその彼女がリーデンローズでリサイタルをするとなれば、とりあえず一度は生で聞いてみたい。
それも大ホールじゃなくて小ホールだから、より近くで聞くことが出来る。
当日
このコンサートは自由席ということなので開場の30分ほど前に会場に行った。
15人ほど既に並んでいたが、思っていたより少ない。あまり人気が無いのかな・・・
でも開場前には100人程度の列が出来た。
開場となって、いつものように中央やや右側の一番ピアノの音響の良い席に陣取る
さてこの日のプログラムは
1.ラフマニノフ 13の前奏曲 Op.32
2.ラフマニノフ 幻想的小品集Op.3より 第2番 前奏曲「鐘」
3.ラフマニノフ ライラック Op.21-5
4.F・クライスラー/ラフマニノフ編 愛の悲しみ/愛の喜び
5.ラフマニノフ ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.36
となっている。
彼女は紫色のドレスで登場。
テレビ等での印象は結構固い人という感じだったのだけど、表情を見ると思っていたよりも柔らかい印象を受けた。
そしてこの演奏の感想は
・指が良く動いて音がとても揃っている。テクニックはさすがだ
・ffで音が歪んで聞こえるのが気になる。
リーデンローズのスタインウェイのせいか(ヤマハのピアノではなかった)
・このホールではペダルを使いすぎに感じる。
・ppがほとんど無い。ダイナミックレンジが狭いのでのっぺり聞こえる。
(ただし、あとからCDを聞いたらそんなことは無かった)
・テンポを急に変えるので、聞いてて気持ちが盛り上がらない箇所多し。
残念だけど、前回の小山さんの時のような感動は味わえなかった。
特に「鐘」は(浅田真央ちゃんがバンクーバーオリンピックで滑ったときの曲です)一定のテンポを崩さずにグイグイ押していくからこそ盛り上がってくる曲だと自分は思っているのに、テンポを急に変えすぎなので違和感を感じて全然心に響いてこない。例えばラベルのボレロのテンポが途中でしょっちゅう変っていったらみんなオカシイと思うのではないだろうか。もちろん曲によってはそれもアリなんだけど、彼女にとっての渾身のラフマニノフがそれならそういう解釈なんでしょ。
彼女はテクニックが有り独特の感性を持っている人ではないかと思う。
良く言うととても個性的な演奏。ただ自分には合わないと思わざるを得なかった