吉備伝2が終わって

  猫番はなぜ勝ったのか

 いまここで改めて猫番について紹介するつもりは無いのだが、よく知らない人のために少しだけ述べる。
このチームもともとお宝探索のチームとしてあった猫とナンバーズという2つのチームが一つとなって猫番となったという話を聞いた。結成以前まねくちゃんについては別チームのころ100万円をゲットした経験があり。これらの経験を持ち合わせていた二つのチームが一つになりさらにパワーアップしたということになろうか。

 このチームは基本が二組のご夫婦ということでチームワークがとてもいいようだ。
邪推となるのを勘弁していただいて書くと、優しそうな旦那さんを奥様二人がリードしているといったイメージをもつ。とくにまねくちゃんがその抜群の知力だけではなくチーム全体を引っ張っていっているように思われる。

 
まねくちゃんについては一昨年の吉備花の際にその知識とひらめきについて驚かされたことがある。彼女のHPでのチャットに参加していた際、最後の問題が出る前に次の問題では黄竜が出現すると言い当てたのだ。当時風水の知識の無い僕は本当に驚かされた。

 猫番としてはこれまで3回連続で大宝(250万円)をゲットしているわけだが、いずれも大宝発見はまねくちゃんが参加しているときである。これから考えても彼女の参加によるチームへの影響が大きいということがうかがえる。


 さて今回の吉備の大宝だが、探索するとなると地元の人と比べ遠方のチームにとっては大きなハンデがあるのは間違いない。時間的にも費用的にもだ。なのになぜ猫番がゲットできたのか僕なりに考えてみたい。

1.調査能力

 これについてはチームであることから個人参加よりも有利であることは違いない。
これについてはほとんどNET検索できるので遠方であろうと問題ないとおもう。
ただ現地資料については劣るかもしれないが、肝心な部分は先行して現地入りしたメンバーが手に入れることになるだろう。
 問題なのは最終問題よりも前の問題の場所(今回ではY寺、S庄)の位置の確定だろう。とくに写真などがヒントの場合は苦労するはずだが、これらは現地の人とのチャットなどで確認することになるのかもしれない。

 しかし、調査能力や推理力などはそれほど吉備のメンバーと比べて差があるという印象はない。

2.探索能力

 純粋に探索する能力ということだが、これは吉備のメンバーに比べて圧倒的に差があると思う。
これまでのゲットで養われた経験と勘でどこをどの程度探索すればその場所での宝の有無の判断をつけられるかということがわかっていると思う。概して経験の無い人はあきらめるのが早いのだと思う。
 そしてチームであるから人数分の目で確認ができるというのも大きい。
チームでの参加が少ない吉備ではこれは有利に働く。
また心構えにもあたるのだが、探索時長靴を履いている人がどれだけいただろうか?
そして岩の割れ目から蛇などが出てくるかもしれないことを予想して軍手や棒を準備している人がいったいどのくらいいただろうか?
既に形から差があるのだと思う

3.タイミング

 吉備の問題はストーリーの進行に応じて謎が解けてくる。
どのタイミングでチームで探索に行けばオタカラゲットの確率が高いかという判断がすばらしい。
前年土曜日の夜に最後のヒントが出たが、今年もおなじ土曜日の夜に7章がアップされ、ヒントがほとんど出尽くす形となった。

4.問題

 この手の問題はある程度前例が参考になっている。
WINDEYEでもそうだが宝の形状がはっきりしていない以上探索能力が宝発見の一番大きな要素であることに違いない。問題を解いて行けばわかるというタイプの出題方法ではないのだ。
別項でも述べたがWINDEYEでは宝のある公園がわかってから発見まで1ヶ月以上かかるのが普通であった。これは経験のあるチームにとって有利だ。

 そして出題傾向について猫番はとてもよく調査している。昨年一昨年の問題をよく吟味していてどういったところに隠されているかということを肌で知っている。
また準備も怠り無い。

 今回吉備伝が始まる前のプレの段階で画面に赤い塊があり音がドンドンと鳴っているのを覚えておられるだろうか。これを猫番は覚えていてあの石文の色が赤いのに気が付き車を停めたそうである。
確かに「谷川の水、一尺の音をたて」とあの赤い石文に書いてあった

5.姿勢

 これが一番だと思うが、彼らはイベントに参加しているのだ。
チームでこれに向かって一丸となって楽しんでいる。探索するためには費用もかかるわけだし人数も少ないほうがゲットした後の分け前も多い。
しかしそれ以上に謎解き自体をチームで楽しんでいるという印象で、逆に賞金目当てという印象は感じないのである。
 前日に岡山に来て仲間と落ち合い(半分旅行気分かな?)、夜に翌日どこを探すかミーティングして、全員でその場所を夜明けと同時に一斉探索する。そして最善を尽くす。
このスタイルが猫番吉備勝利の方程式だ。

 今回のS滝については吉備のメンバーも猫番もすでに探索していたのには違いないと思う。
土曜日に問題の更新があって「4が5になるとき」が宝の位置と関係なくなった。

どう考えてもS滝はT寺から巳の方角にある水で一番それらしいポイントであった。
このとき吉備のメンバーは「あそこはもう探したからない」もしくは「○○さんが探したからもう無い」と思って誰も当日夜明け前に行かなかったのではないか。

 そして猫番のメンバーも同じようにあそこは何人もが探していると考えたに違いない。しかし猫番の強さは夜のミーティングでもう一度S滝を探そうよということになると、夜明けと同時に全員でまとまって行動できるという強さだ。
 これができるチームが吉備には無かったのだ。
実際に昨年もまったく同じ要領でゲットされた。
6.背水の陣
遠距離ということで、逆に有利に働くこともある。

 僕は先月赤い鳥の探索で岐阜と福井に行ったがそのときのこと、夜に高速を走って岐阜の道の駅で朝を迎え、その当日中に2箇所の鳥をゲットする計画。もちろんそれなりに勝算があってのことだった。
 夜が空けて明るくなってまず道の駅周辺を探索。一時間程度散策した後に本命の場所へ移動。30分程度探したが宝が無い。おかしいと思い道の駅に戻り観光案内所に行く。連れはもうあきらめかけている。しかし「ここまで来て手ぶらで帰れない」と思い返し再度本命の場所へ移動する。そうしたところ結局発見できたのだ。なんと盲点があったのだ。
 それから福井に移動。予定のA地点とB地点を探索。しかしここでも宝が無い。よほど観光に切り替えようかとも思ったが、やはり「ゲットできずに帰ることはできない」と思い返す。それから現地で調査し第3の地点を決定。そうすると在ったのだ。また発見できた。
 もしもこれが近くだったらどうだったろう。「またくればいい」と早々にあきらめて帰ったんじゃないか。甘えが出るんじゃないか。

遠くだからこそその時じゃないといけない。最善を尽くせる。背水の陣だ。

 かく言う今回の僕も発見の当日、S滝に絶対の自信があるわけでもなく、自分自身の用事もあることから岡山には行かず、連れに「S滝の駐車場はみたか?」といっただけ。それ以上は言えなかった。
実際まだ自分で探索できる機会がまだあると考えていたのだ。甘えていた。
ただしもちろん行っていたとしても見つけられたかどうかは全く別問題だが…


それにしても猫番の根性は尊敬に値する。

 結果的に7章が出た翌日の夜明けにS滝にいたのは猫番の4人だけだった。
この時点でほぼ勝負が決まっていたのだろう。
今回猫番に宝をゲットされて悔しがっている人はかなり多くいると思う。

 来年もしも吉備伝3があったとしたらどうなるだろう。
正直猫番に対抗するには現地でも同様なチームがいないとだめなのかもしれない。
一攫千金を狙うのではなくイベントを純粋に楽しむチームがやはり強いだろう。

 大宝ゲットの翌々日たまたま黒猫ちゃんとメッセする機会があった。
僕のBBS(百家争鳴)への書き込み「最悪の結果だ。来年はないかもしれん。」を見て
   黒猫 「どうして猫番が宝を取ったら来年はないの?」
   はじめ「そりゃ強いものが結局勝つってみんなが思うからだよ」(申し訳ない)
   黒猫 「えぇー!私たち強くないよ」…………
今年の賞金は予算の関係で昨年の半額の50万円に減額されていたが、この賞金は全体から見ると僅かな額のはず。なぜ50万円になったのかを考えると、金額が大きすぎるとハンター強豪チームが全国から集まり逆に地元の多くの人が参加する余地が少なくなってしまう。逆に少なすぎるとメインイベント自体が盛り上がらない。このあたりから決まった金額というのもあるかと僕は推測していた。
地元チーム対他県チームの様相じゃ人はあまり動かない。

僕は黒猫ちゃんに「今回の吉備はどうせなら○○に取らせたかった」という話をしたのだが、
(ライバルの○○はほんとに一生懸命で悲壮感が漂っていたので)
黒猫ちゃんは「なんでチームを組まないの?」と不思議そうに僕に言った。

そりゃきまってるじゃん!だって一攫千金を狙っての宝探しだもんね………
人数が増えたら分け前が減ってしまう。


今回のイベントを考えると小宝やGOLDRUSHという新しいアイデアで多くの人たちが動き、大きな反響があったものと思われる。
結局はこのイベント大成功じゃなかったかと感じた。


来年も是非やってもらいたいもんだ。