天才少女ヴァイオリニスト 村田夏帆を聴く 
 

  

  
 



2024年2月3日、リーデンローズ小ホールに村田夏帆が登場。

現在、日本では二人の天才少女ヴァイオリニストが注目されている。
一人が吉村妃鞠(HIMARI)12才、そしてもう一人が今回の村田夏帆16才である。
この二人、国内外のコンクール荒しと言ってもいいような活躍ぶりで数々の賞を獲得している上に、多くのオケとの共演や単独演奏会も行っていて、活躍ぶりもめざましい。
技巧は両者とももちろん素晴らしく、音楽性においても素晴らしい。ただ若いがゆえにこれからどう変化していくのか楽しみでもある。
二人の演奏はYoutubeにもアップされていて、その演奏はいつでも聞くことができるわけだが、二人の音楽性の違いはかなり感じることができる。これまでの私なりの印象としては、吉村妃鞠が王道で村田夏帆は独創的といったところか。吉村妃鞠はもしかするとお母さんの吉田恭子の音楽に似ているのではないかと思うところもある。


今回、リーデンローズの小ホールは全席指定でほぼ満席。残念ながら向かって左端の席しかとることができなかった。そんなに知名度があったのかと意外に思ったけれど、これは福山の観客というよりも西日本の観客がここに集まってきたのではないかと思われた。いつもの中央やや右寄りの席が取れなかったので、もしかすると楽器の響きに問題があるかもしれない。

さて、時間になって彼女が登場してきた。
16歳ということだから高校生なわけだけど、見た目は中学生、いや小学生高学年といっても通るんじゃないかと思える容姿。そしてお辞儀もピョコンと可愛らしい。

バッハの無伴奏のパルティータから演奏が始まった。彼女の演奏は強弱のメリハリがはっきりとしていてやや強調気味か。しっかりとした音でよどみなく音楽が流れていく。
それにしてもいつか聞いた高木凜々子のバッハのように音に包まれて心に響くような感覚になれなかったのはおそらく席が悪かったせいなのだろう。
ベートーヴェン・ブラームス・サンサーンスとあっというまに演奏が終了してしまいアンコールのサラサーテ。そしてピョコンとしたお辞儀で演奏会は終了。
ベートーベン・ブラームスはなかなかの本格的な演奏だったし、サラサーテの超絶技巧の速弾きは凄かった。フラジオレットの速弾きなんかにも驚かされた。

ただ、どうも目を開けると彼女の容姿が邪魔をして不思議な感覚に包まれる。席の悪さもあいまって、よく聞く曲ではあったけど、自分にとってはあまり音楽に浸りこめなかった演奏会だったのかもしれない。
またじっくり聞いてみることにしよう。そして今後の進化にも着目する必要がありそうだ。

ところで、今回の観客の質はいつものリーデンローズとは違ってなんか上等な雰囲気を持っていたと思う。知る人ぞ知る演奏家だから、聞きに来る人に俄かの人はいなかったんだろうね。