福山シンフォニーオーケストラ第21回定期公演
  高木凛々子を聴く
 
 






2023年7月9日、リーデンローズで福山シンフォニーの演奏会があった。
地元福山のオーケストラでありながら、実はこれまでこのオケの演奏を聴いたのは1回だけ。
今回聴くことになったそのきっかけは私の推しである高木凛々子その人がソリストを務めるということだからだ。
もう5年前のことになるが、府中シティーオーケストラと高木凛々子の組合せでコンサートがあったので聴きに行ったのだが、それと同じような経緯となる。
そのとき府中のオケは自分の想像以上の演奏を聴かせてくれ感動したのだけど、福山のオケはどうなんだろう。そして今回の高木凛々子の演奏はどうなんだろう。
というわけで興味津々のコンサートとなった。



「福山シンフォニーオーケストラ」は「福山夢オーケストラ」を前身とし1999年に発足した地元のコミュニティーオーケストラで、全国で初めてNPO法人として認定されたオーケストラだ。
当日は早めに会場に到着したのだが、その時の会場の世話方さんの殆どが暁の星女子校の生徒さん。おそらく暁の星の音楽の先生などが出演されているんだろうと想像できた。
自由席当日券2300円を購入。実際真面目に券を購入して見に来ている人たちが何割くらいなのかわからないが、このオケに協力するのはやぶさかではない。なんといっても高木凛々子ちゃんの演奏が聴けるのだからね。
会場の観客の入りは1階が7-8割程度かなという印象。多分1000人までは入っていないだろうけど、地元オケのコンサートとしてはソコソコ多いのではないかと感じた。


13:40 指揮者の上野氏によるプレトーク。オケの説明や演奏する曲目の説明があったけど、これはあくまで学生さん親御さん向けという感じで長いわりに面白くない。ドボルザークの先生の先生がシューマンだなんて、知っている人は既に知ってるし知らない人は全然興味ないでしょ。だからこうなっているというオチが無い長い話はつまらないですよ先生!(ごめんなさい)
そういえば、前回2009年に福山シンフォニーを初めて聴いた時もプレトークがあってあまりいい気分にならなかったことを思い出した。その時は指揮者の曲に対する押しつけがましさを感じたものだった。さすがにめざましクラシックの軽部さんのような絶妙トークを指揮者に期待するのは無理だろうが、これなら曲紹介オケ紹介は3分で良いんじゃないかと思ったりする。


14:00 ドボルジャークのヴァイオリンコンチェルト。
この曲を生で聴くのは超久しぶりだ。
上野氏と高木凛々子ちゃんが登場。彼女は紫のドレス。前回よりなんかちょっと痩せたかな。
彼女の演奏はなんか昔よりもダイナミックレンジが広がった感じがして、聴くたびにだんだん音楽的に良くなっている気がする。右腕上腕靱帯の筋肉がピクピクと動くのが顕著になって、普段からかなり練習してるんだなという印象。そして使っているストラドに馴染んできたのか、ヴァイオリンの音色は以前よりも少しだけ柔らかく太くなったという印象をもった。演奏自体はオーソドックスでとても素晴らしい。ただ一方でこれぞ凛々子節と思えるような演奏を聴かせてもらいたいという希望もある。
オケの方はなかなか頑張っている。ちょっと重めかなという感じではあったけれど、まとまっていてとてもいい印象を持った。福山市民としてこれなら恥ずかしくない。これは指揮の上野氏の指導のおかげかと思わずにはいられなかった。
彼女へのアンコールはバッハのシャコンヌ。こちらはもう何度目かになるけれど相変わらずお上手。何度聞いても感動ものだ。最高だった。


15分の休憩後はオケによるシューマンの「春」
こちらの正直な感想は、「ちょっと曲が難しすぎなんじゃないの!」だ。選曲に問題が無かったか。5年前の府中シティーオーケストラはチャイコの4番だったけど、それと比べたらシューマンはさすがに難しいでしょ!

全体の印象として弦が弱いのがちょっと気になる。人数も少なめだけど福山にはヴァイオリンをやっている人が少ないのかな。弦についていうと府中シティーオーケストラにちょっと負けてるような気がしないでもない。金管木管はなかなかお上手。つまりブラスバンド出身の人は結構いるんだろうね。
とはいえ、アマオケだと思えば福山シンフォニーはそこそこの水準だとは思うので、これからも頑張ってほしいと感じずにはいられない。協賛企業ももっともっと増えたらいいのになぁ

アンコールは無し。きっとアンコールピースの準備ができなかったのだろう。それだけ練習時間が今回は無かったのかと想像が出来た。1曲だけでいいから福山シティーバンドのようにいつでも演奏できる十八番のアンコールピースを持っていたら良いのにと思う。なんなら弦なしで演奏しても良いじゃないか。それがお客さんへの感謝の気持ちになるのにね