広島交響楽団第24回福山定期演奏会
  北欧音楽〜深き陰影の美
 
 

  



2018年2月18日、広島交響楽団第24回福山定期演奏会。
今年は北欧音楽だ。


この日のプログラムは

  1.グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調OP16  Pf:児玉桃
         〜 休憩 〜
  2.シベリウス:交響曲第2番ニ長調OP43

指揮は円光寺雅彦氏である

会場に入ってみると、今回は随分客が少ないと感じた。満席が2001席のリーデンローズ大ホールだが感覚的には700名程度。
満員というところまでお客は入っていない。
要因としては、一番が選曲のことがあるのだろうと思う。
北欧の音楽というか、特にシベリウスにはなじみがない人が多いのかもしれない。




グリーグのピアノコンチェルトが始まった。

ピアノの児玉桃という女性は大阪生まれながらフランス育ち。
1991年19歳の時にミュンヘン国際音楽コンクールで1位なしの2位受賞。
1997年出光音楽賞受賞という経歴を持っていて、その後ベルリンフィル・ボストン交響楽団・モントリオール交響楽団などの有名オーケストラとの共演を果たしている。

グリーグのピアノ協奏曲は出だしのピアノでの降下するフレーズが有名。そして、その後そのまますぐに第1主題が始まる。その第1主題を彼女は随分しっかりと弾いていてバランス的にピアノがやや勝った演奏。そしてやや硬い音色だと感じた。
このホールを意識しているのか、オケよりも前面に出たf(フォルテ)での演奏でそれが終盤まで続く。逆に言うとオケが遠慮気味なのか・・・
どうも自分の持っているこの曲のイメージとは異なった演奏で、北欧の暗い印象はあまり感じなかったというのが正直なところだった。
彼女はミスタッチは比較的少ないし、あの音量で弾き続けるのは容易ではないと思うので技術は確か。一方で、音がやや不揃いに感じることも一部であった。
また、いつかの小山実稚恵さんのようにリーデンローズのスタインウェイが歪んだような音を出すほどの大音量を出すことは一度も無かったので、良くコントロールされているのだとも感じる。

結果的には自分にとっては新しいグリーグ感を味わえる演奏だった。


休憩をはさんでシベリウスの交響曲2番。
シベリウスの7曲の交響曲のなかでは一番人気の曲で、特に4楽章のメロディーは有名だ。
しかしながらそれでも知名度は一般的にはもう一つだろうか・・・
演奏はいつもの広響で安心して聴いていられるという一方で、どうも個性にかけるインパクトの少ない演奏だという印象を持った。
ただ正直なところ自分もあまりこの曲を聴きこんだことがないので、あくまで個人的な感想だということで勘弁してもらいたい。




帰りに児玉桃のトビュッシー作品集のCDを買って帰った。
聴いてみるとこれがなかなか素晴らしい演奏で個性的。結構お気に入りのアルバムとなった。
ということは今回のグリーグに対する印象は単なる自分の経験不足ということか・・・